今夜は東京にも雪が降るんじゃないかという予報が出ていますけれど。
雪景色になってしまう前に、
くろまうす会のタスクをひとつ消化しておかないと、と思いまして。
なにせ、雪は多くのことを包み隠してしまいますから…。
(
妄想回想入りまうす)
大晦日。
前日は仲間と飲み明かしていた僕。
目を覚ましたのは、もう夜だったのです。
「しまった、約束の時間までもう余裕が無い!」
思わず独り言を呟きながらも、身支度を整え。
マンションを飛び出しました。
駅まで走る僕の吐く息は、まるで冬の夜空に風の足跡をつけるように、白く立ち上っていました。
待ち合わせの場所に着いたのは、約束をしていた時間を少し過ぎた頃でした。
「
前にもこんなシチュエーションがあったな…」
いつも待たせてばかりの僕。
それでも、彼女は待っていてくれたのでした。
あの時と同じように、ハァっと手を息で温めながら…。
「遅れちゃって、ごめ」
言いかけた僕の手を取り、彼女は突然走り出しました。
「ちょっと、どこに…」
戸惑いながらも走り出した僕に、彼女は振り向いて答えました。
「早くしないと、年が変わっちゃうよ!」
除夜の鐘は、もう街に響き始めていました。
もうすぐ、本当にあと数分で新年を迎えようかという頃。
僕らは静かな街外れの、公園のベンチに座っていました。
走り続けて乱れた息を、缶コーヒーと煙草で整える僕。
彼女はひとつ、ふぅ~っと息を吐いてから、空を見上げました。
「ここ、東京なのに結構星が見えるんだよ」
空には、街の明かりに消え入りそうになりながらも輝く、いくつもの星が散りばめられていました。
「この星のひとつひとつに、たくさんの願いが込められているんだよ」
そう言いながら彼女は、星の数を数え始めたのです。
ひとつ、ふたつ、みっつ…………。
ひゃくむっつ、ひゃくななつ、ひゃくやっつ。
数え終わる頃には、もう夜は明けていました。
疾走の疲れからか僕は、数え上げられる星のひとつひとつに込められた夢を見るように、眠りについていたのでした。
まるで、1夜に108つの夢を見たような、不思議な年明けでした。
A Happy New Year☆
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